当館所蔵の6点の国宝の一つ、藤原定家筆「国宝 熊野御幸記」を、開館20周年の年に久方ぶりに全巻を展示いたします。それに合わせて館蔵品の中から後鳥羽上皇と藤原定家の書を選んで展示しますが、なかでも「大嘗会巻」は、藤原道長(966〜1027)の時代に活躍した藤原実資(957〜1046)の日記『小右記』から長和元年(1012)の大嘗会の記録を定家が筆写したもので、当館では初公開になります。また、定家の歌切や消息、3幅の藤原定家画像も今回が初公開のものです。以上の作品につきましては、蔵品図録『国宝 熊野御幸記と藤原定家の書』を発行いたします。
定家の書といえば、江戸時代以来、小堀遠州などの茶人の間で「定家様」が好まれました。それがうかがえる茶道具や消息なども加えて展示し、さらに定家は和歌の世界で六歌仙や三十六歌仙に選ばれますが、年末年始の展覧会らしく、百人一首かるたや歌仙絵かせんえを展示し、最後に重要文化財の東福門院入内図屏風で締めくくります。
なおこの展覧会は、次の開館20周年特別展「生誕1200年 歌仙 在原業平と伊勢物語」とは、和歌と歌仙絵でつながる展覧会といえます。両方の展覧会を観ていただき、日本の古典文学の世界にも親しみを持っていただくことも目的の一つです。