今回は、春日氏が専門学校在学中の1964年に東京と周辺の街をスナップした「東京・1964年」をご覧頂きます(ヴィンテージプリント12点、ニュープリント65点)。
1964年10月に開催されたオリンピック東京大会にむけて、東京では再開発の槌音が鳴り響き、次々に造られる新しい建物や高速道路によって街並みが一変していきました。東京の下町で生まれ育った春日氏は、幼い頃に母と歩いた街角が変貌していくのを目の当たりにして、憑かれたように歩きまわって撮影を続けたといいます。
都心では、池袋や上野に建てられたオリンピックのモニュメントや銀座のウィンドウディスプレイ、そして、街頭に掲げられたオリンピック旗などによって五輪ムードが盛り上げられていました。周辺の小松川や千住、川崎などでは、昔ながらの煙草屋、洋品店、金物屋などの店先に記念旗や提灯が掲げられて、平和の祭典を盛り上げる機運がうかがえます。戦後20年を目前にして、壊滅的な打撃であった戦争の記憶を払拭するかのように国際イベントに向かう都市・東京とそこに生きる市井の人々を、若き写真学徒であった春日氏が冷静に記録しています。
約50年前のオリンピック東京大会の年に撮影された作品群は、解体と再構築を重ねながら東京2020大会開催に至った東京の軌跡を思わせることでしょう。
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add: 2021-07-23 / mod: 2021-07-23