平日10:00〜17:00(入場は16:30まで)
土日祝10:00〜17:30(入場は17:00まで)
前期 9月4日(水)〜10月20日(日)
後期 10月22日(火)〜12月1日(日)
【休館日】月曜日
*ただし9/16(月)、9/23(月)、10/14(月)、11/4(月)の祝日と振替休日は開館し、翌火曜日は休館
===============
月岡芳年 (1839-92)は幕末・明治期を代表する浮世絵師です。歌川国芳の高弟として名を馳せ、現在その評価は一段と高くなっています。本展では、「歴史」に取材した作品に焦点を当て、芳年の画業を紹介します。
とはいえ、「歴史」とは非常に曖昧な存在です。学術研究で未解明な領域は数限りなく、また同一の出来事であっても、見る者によってその意味は大きく異なります。芳年が描く「歴史」も今日の私たちが思い浮かべる歴史と比べると、少しばかり違和感を覚えるかもしれません。明治10年代における芳年の作では、天皇を国家の中心とした明治政府の歴史観を踏まえ、『古事記』に綴られる神々や、忠義を重んじる賢臣が多く登場します。他方、晩年にあたる明治20年代の作では、講談や謡曲など芳年が好んだ文芸趣味が色濃く反映され、そこに描かれるのは虚実入り混じる幽玄な世界です。静と動の表現を巧みに使い分け、今なお人々を魅了しつづける芳年の作品を通じ、「歴史」を描くことがいかに創造的であるのかを探ります。
あわせて本展では、芳年門下の水野年方と右田年英のほか、回顧的な作風に長じた尾形月耕、そして芳年に私淑した風景画の名手・小林清親の作品を紹介します。彼らが描いた「歴史」には、芳年の影響だけでなく、独自の作風を模索した新時代の息吹が感じられます。
明治の浮世絵師が織り成した様々な「歴史」。その豊かな物語性をお楽しみください。