ある朝、目を覚ますと自分が別のものに変わっている——そんな想像に取りつかれたことがあるのではないでしょうか。ギリシャ神話をはじめ、オウィディウスの『変身物語』やデイヴィッド・ガーネットの『狐になった奥様』、中島敦の『山月記』と“変身物語”は古今東西で生み出されています。なかでも、今年没後 100年となるフランツ・カフカ(1883-1924)の『変身』に漂う重く生々しい描写は一度読むと頭からなかなか離れません。
本展では、主人公ザムザが変身した「ウンゲツィーファー( Ungeziefer )」のイメージを探るため、訳者ごとに異なる訳文や装丁画に注目します。また、村上春樹はもちろん、近現代の作家たちや漫画家たちがカフカをどのように作品に取り入れた(=“変身”させた)のか、日本におけるカフカ受容について考えます。
※展示作品のうち手治虫「ザムザ復活」原稿は、5月21日(火)までの期間限定で展示をいたします(以降は複製原稿を展示予定)。