1923年(大正12)9月1日、相模湾沖を震源とするマグニチュード7.9の大地震が関東地方の南部や周辺地域を襲い、直後に発生した火災は東京の街を焼き尽くしました。その後、灰燼に帰した街には仮設の住宅や商店が建ち並び、中には建築家の手になる、意匠を凝らした仮設の商店も現れました。そしていよいよ街並みが整理され、東京は江戸の風情を残した震災前の街並みから、鉄筋コンクリート造のビルが建ち並ぶ近代的な街並みへと変貌を遂げました。そのような街並みの中に、真っ平らな表面に銅板やタイルなどが張られた、木造の商店建築が数多く建てられました。これが「看板建築」です。
江戸東京たてもの園では、東京の歴史を物語る重要な建物として積極的に看板建築の収蔵を進め、現在6棟を移築・復元し保存・公開しています。建築家の手によらない自由奔放なデザインは、当園の「顔」のひとつともいえる重要な存在となっています。
この展覧会では、看板建築が誕生するきっかけとなった関東大震災と、その後に建てられた仮設住宅の姿などを紹介するとともに、看板建築の誕生とその特徴を紹介します。建築からまもなく1世紀、今では貴重な存在となりつつある看板建築を、改めて見つめなおします。