博物館には珍しい生き物の標本だけでなく、その場所でよくみられる生き物の標本もたくさん収蔵されています。これらは「普通種ふつうしゅ」とされ、その希少性のなさから、あまり注目されません。しかしながら、普通にいることで環境を測るものさしとなったり、生態を観察したり、自然と触れ合う窓口となったりと、とても重要な存在です。また、様々な環境問題により、普通にいると思っているうちに姿を消してしまった普通種の存在も、近年次々と明らかになってきています。
本展示は、当館が収蔵する普通種の標本を入口として、様々な切り口から自然史科学の世界を眺め、彼らがもつ面白さや重要性を紹介します。当館が長年の活動で集めた標本と、それらを用いた調査研究活動の実例に基づく、当館だからできる「普通じゃない普通種展」を、ぜひお楽しみください。